何者からも束縛を受けないということは同時に何者からも庇護されないということを意味します。したがって、自由は常に不安と表裏一体です。フリーエンジニアは、まさにこの状況下にあります。
もはや口うるさい上司は存在せず、終電を気にして仕事をこなしていく必要もありません。その代わりに、仕事がスランプに陥っても同じ給与が貰え、病気で長期休養しても当面の給与が保障されるなどということもないのです。また、会社に定年まで勤め上げていれば退職金が支給されますが、フリーの立場ではもちろんそんなものはありません。たとえ、現時点において会社に勤めていた時よりも高い収入を得ていたとしても退職金分も稼がなくては、収支で優るとは言えないのです。
しかし一方で、早い段階でフリーエンジニアに転向した強みもあります。それは、この仕事には定年退職がないということです。今や55歳や60歳で退職してもその後の人生が長いので再就職を考えなければなりません。フリーエンジニアになるにしても歳と取ってからではなかなか難しいものです。それに対し、比較的若い内からフリーの仕事をし、人脈を築いておけば、体が動く限り仕事を続けることは可能です。退職金がないといっても相場は1200万円ほどです。月給40万円と考えれば、30カ月分ほどにすぎません。退職後の長い人生を考えれば、フリーとしての足場を固めておいた方がより多くを稼げるのではないでしょうか。